
佐野 藍
Sano Ai
彫刻家・12年
彫刻家として石と向き合いながら、かつて夢見た漫画の世界への思いも抱き続けてきた佐野藍さん。2026年に初めて挑戦した絵本「そらいろのはな」の制作を通じて見出した新たな表現の可能性や、絵本という媒体が生み出す人との出会い、そして「神保町まちなかアート」への参加のきっかけについて、お話を伺いました。
Meishi+
采访者
Sano Ai
彫刻家
新たな表現
Meishi+
彫刻家として活動される中で、なぜ絵本を制作しようと思ったのでしょうか?
Sano Ai
実は彫刻家になる前は漫画家になりたいと思っていたくらい絵を描くことが好きだったんです。絵本をつくりたいという気持ちも改めて自身のSNSを確認したところ6年ほど前からありました。彫刻家として活動する中で作家が作品について言葉で説明しすぎる事には少し抵抗を感じていました。一方で、漫画や絵本にとって文章は作品を構成する大切な要素です。作品を説明するためではなく、物語をつくるために言葉を使う。特に絵本は絵と文字のバランスが彫刻家としての自分にも自然で心地よく感じられたんです。実際に制作を始めたのは今年に入ってから。「神保町まちなかアート」が古書祭りと重なることもあり、今こそ挑戦するタイミングだと思いました。また現在は0歳の子どもを育てているので制作環境も大きく変わりました。石を彫ると粉が出て衣服にも付着しますし、その後の片付けをしないと子の健康にも影響します。その点絵本制作は子育てと並行しながら取り組むことができます。今の自分のライフスタイルにも合った創作活動だったんです。
異なる創作
Meishi+
普段の石彫制作と絵本を描く作業にはどんな違いがありましたか?
Sano Ai
普段、石を彫るときはあまりデッサンをしません。描くとしてもかなり抽象的なものです。天然の大理石には亀裂が入っていたり、予想していなかった色が現れたりします。だからこそ最初から完成形を決めすぎず、その場で起こることを受け入れるライブ感を大切にしています。石彫は初めから最後の一手まで石に傷をつけながら形を生み出していく作業でもあります。一方私の場合は、絵本はまずストーリーを練ることから始まります。昔から絵を描いていたので抵抗はありませんでしたが物語や文章をつくることは自分にとって新しい挑戦でした。特にストーリーづくりには時間をかけ、言葉の一つひとつにも気を配りました。難しさはありましたが完成したときには大きな達成感がありました。将来的には絵本を専門としている出版社のプロの方々とも一緒に仕事ができたらと夢見ています。
色彩の発見
Meishi+
今回の絵本ではどのような世界を描いているのでしょうか?
Sano Ai
「アルビオン」という基本的に色のないモノクロの世界を舞台にした物語です。そこには幻獣のような生き物たちが暮らしています。ある日、2匹の仲良しおちびな竜が、遊びを通じて出会った山の様におおきな竜の言葉をきっかけに色のついた花を探す冒険をするお話しです。今回参加する「神保町まちなかアート」も普段は古書の街である神保町が約1か月間だけアートの街へと姿を変えます。色のない世界で新しい色を発見する物語といつもの街に新しい景色が生まれる今回の企画にはどこか通じるものがあると感じます。何気ない日常にささやかに色づく花のひとつになれたら嬉しいです。
山の暮らし
Meishi+
制作を離れた日常ではどんなことを楽しんでいますか?
Sano Ai
今は山間部の集落に住んでいます。大家さんが畑を耕したり梅の季節には梅を漬けたりしていて、そうした暮らしが身近にあります。自分も畑仕事をするようになりましたが想像していたよりずっと忙しくて。でもいい運動になりますし、この年齢になって初めて知る野菜との出会いもあります。最近は「もぐらうり」という瓜が大好きになりました。料理もいい気分転換になっています。20〜30分ほどで家庭料理をつくる時間が意外といいリフレッシュになるんです。あとは、ご飯を食べながら知り合いが出ていた恋愛リアリティ番組を見ることにも思いのほかはまっています(笑)。
創作のその先
Meishi+
今回の絵本をどんな方に手に取っていただきたいですか?
Sano Ai
自分は同じ時代を生きている人たちとお互いに影響し合いながら生きていると思っています。これまでは美術業界の世界を主な活動の場にしてきましたが、絵本という媒体を通じてこれまで出会う機会のなかった人にも作品を届けられたらと思っています。また、逆に間口の広い絵本という媒体から、ニッチな分野である石彫にも出会っていただけたらという思いもあります。作品を手に取ってくれた人の人生と、自分の表現がどこかで重なり合う。そして、その出会いがお互いに少しでも豊かな影響を与えられたら、それだけで嬉しいです。
佐野 藍
Sano Ai
彫刻家・12年
把你的魅力, 写成访谈文章。